KCJが伝えたいこと

EQ(心の知性)はIQ(知能指数)に勝る!?

小学4年生のある生徒は、テニスのレッスン中に4字熟語、慣用句、ことわざ、英単語をも会話のあちこちに披露してくれます。その他のいろんな知識にもびっくりです。間違いなく学年では学力・知識はトップでしょう。挨拶もしっかりできるし…。
しかし私には彼の将来に不安が残るのです。運動能力は同学年でいえば中の下くらい、極端に悪いわけではありません。けれども上手くできなかったことに極端に自己否定反応を示します。プライドが高いだけに…。一旦ガッカリしたら最後、その日はレッスンが終わるまでまともに動けません。何を言っても、いくらおだててもダメなのです。終了前にやる楽しいゲーム(6虫)でさえダメなのです。彼が今後人生の壁にぶつかったり、トラブルに巻き込まれたりしたときに、乗り越えられるでしょうか。
…このような例は少なくありません。

ここで皆さんにEQという言葉を知っていただきたいのです。
EQとは「心の知能指数ともいわれ、自分自身を動機づけられる、挫折にもしぶとく耐えられる、衝動をコントロールできる、誘惑にも負けない、自分の気分をうまく調節し、思考力が感情の乱れに影響されない。また、他人にも共感でき、希望を維持できる能力」…ダニエル・コールマン

皆さんは親として子供たちのIQだけを追っていませんか?
同様に学力・知識だけを追っていませんか?

じつは人生の成功は、IQ(知能指数)≑学力とは関係がないという事象や研究結果・文献がたくさんあるのです。一部を紹介させていただきます。
●人生に大きな差をつけたのは、IQよりも子供のころに挫折を克服する能力や感情をコントロールする能力や他人と協調する能力があったかどうかだった。
●IQは仕事や人生全般における成功とはほとんど関係ないことがある研究結果においてわかった。
●IQが同じでも人生に成功する人とつまずく人が出てくるのは、EQに差があるからだ。
●学校の成績が伸びるかどうかは、知識の蓄積や早熟な読解能力よりもむしろ情緒的社会能力(EQ)による場合が多い。
●オールAだったJ君は物理で80点のBをとり、教師ともめたあげくナイフで切りつけ「テストの成績を悲観して自殺するつもりだった」と。彼は主席で卒業したが未だに教師に謝っていない。
●EQの高い子供は仲間に人気があり、皆から好かれる。教師からも社会的能力に優れた生徒と認められる。
●学校の成績が良くても、人生のピンチやチャンスにはほとんど役に立たない。
●EQの高い子供は粗暴性や攻撃性などの問題が少ない。認知力や集中力もあるので学習効果が高い。
●EQの考え方というのは、ハーバードのビジネス・スクールのようなエリート大学を出ているのに、社会的成功を収めることができない人間の研究から始まった。
●いくら頭が良くてもやる気のない人間がダメなのは言うまでもない。
●感情のコントロールが悪かったり対人関係能力が低ければ、いくら学歴や知能が高くても世間での成功は望めない。
●高いモチベーションの維持や、人の気持ちを思いやれるなど、人間的魅力を支えているのはEQである
●ビジネス社会で成功した人は、自分の感情の状態を把握し、それを上手に管理調整するだけでなく、他者の感情の状態を知覚する能力(EQ)に長けている。
●IQ中心型の日本だが、世界的にはEQが中心になりつつある。世界トップ企業といわれる「フォーチュン500社」のうち、8割の企業が教育などの研修等によってEQを導入している。

断っておきますが、私はIQや学力が全く意味がないとは思いません。これらが高いのが良いのは間違いないでしょう。しかしながらこれらは世間的に思われているより小さい事のようです。これらを活かせるのはその基盤・土台になるEQやセルフイメージであり、それらとの相乗効果によってIQや学力が活かされてくるという事のようです。誤解を恐れずに言い換えるならば、EQやセルフイメージが低ければ、IQや学力は人生の成功には全く意味ないものにもなってしまう可能性もあるという事です。

テニスレッスンの中でその子供から感じるEQと、コーディネーション(自分の体を思い通りに操れる)能力の両方が、その子のセルフイメージに大きく影響していることははっきりわかります。自分に対する信頼感や安心感を常に持ち、情緒も安定し、人からも信頼される子供とは「脳と体の調和」が取れていることからスタートしているのです。「思い通りに体が動く」ことが嬉しくて親へ生んでくれたことへの感謝を感じ、もっと動きたくなり、感覚が磨かれるに従い感性も磨かれ、〝空気を読む″〝気配り″などが向上し挨拶、返事、会話ひとつ取っても少しでも相手を和ませてあげたい、喜ばせてあげたいという気持ちが伝わってきます。つまり社会性=EQが育っているのです。そういった子は人からも好かれ、将来は周りから応援され、支持者や協力者も集まるでしょう。

「思い通りに動ける:コーディネーション能力」が「感性と社会性:EQ」を引き上げ、最も大切な「セルフイメージ:自信、自己肯定感、自尊感情」を持ち上げてくれます。子供たちには心より幸せ=成功への近道を進んでほしいと願っております。