KCJが伝えたいこと

今月のセルフイメージ(2017.9月)

KCJテニスアカデミーの目的は、子供たちのセルフイメージを高めること。
まちがいなく子供たちはセルフイメージの通りに生きていくことになるから。

◇ 親バカであってください② … 子供の「可能性だけ」を見て!

2016 年 9 月のこのコラムで「人間は張られたレッテルにこたえる動物であ る」(心理学の権威者)を引用させていただきましたが、最近とくに思うことが有 り、再度お伝えしたく書かせていただきます。私が過去に指導した選手の中でも 5 本の指に入るほどのポテンシャルを持ちながら全く(私の感覚では 10%も)そ の力を出し切れない大変有望な選手についてです。真面目でひたむきで素直で、 ある部分を除けば最高の生徒なのです。しかしそのある部分があるゆえに極端に 成長が妨げられているのです。その「ある部分」とは、お察しのとおりセルフイ メージ! 自分の能力を大変低く見積もってしまうのです。良いショットが続い て確実にコツをつかんだなと思っても、突然調子を乱してしまうのです。それも 何度も何度も。結局習得できるまでの時間が、自分を信頼している子の何倍もか かるわけです。「小さい8球」ネット前のサーブを入れる狭いエリアでハードに 走り回ってとにかく8球ネットを越すという練習メニューがあります。それまで の難しいボールを難なく打ち返しながら、いつも最後の1球でミスる子は大抵決 まっていて、3回成功した子から終わりの場合は必ずと言っていいほど最後まで 残るのです。ひどいときには6回連続、8球目にミス、どんなに簡単なボ―ルで も。セルフイメージのせいと知らないコーチだと「わざとやってんのか!」と怒 鳴りたくなるでしょう。その子は泣きたいくらい真剣なのですが、「私はできな い子だから、成功したらおかしい」というその子の潜在意識が、8 球目という成 功を目前にして成功させてくれないのです。私たちにとって「こんな素晴らしい 子供たちができないわけがないのに」という悔しさ、お分かりいただけますでし ょうか。逆にあまり才能を感じられないけど理由もなく自信だけを持っていた子 が想像をはるかに超えて成長したことがまれにありました。つまり才能っていう のはセルフイメージを高く設定できることが一番大きな要素なのではないか。私 は36年間の子供の成長を見てきてそう思わざるを得ないのです。
日本人は謙遜が美徳とされがちですが、それが大きく子どもの足を引っ張って いるとも感じています。セルフイメージの低い子の親の大半の特徴なのです。子 供の前で「うちの子はまだまだ」「ダメな子ですみません」「こんなことができな いんだから」の類似が多いのです。わが子にそうなれといっているのと同じ事で す(本文1行目)。さらには心配性の親。これも長年ジュニア指導しているとはっ きりわかります。子供がテニスで成功した例などあまり記憶にありません。コー トに入ると自分ですべてを考えすべてを決定し行動するテニスだからこそ余計 にそうなのでしょう。親の干渉が多い子は多くを自分で決められないし、私の「ど うしたいの?」に全く反応がないのです。そして最大のマイナスは「あなたは心 配にあたる子」つまり子供からすると「私は心配されなければならないほどでき ない人間なんだ」というメッセージが伝わってしまうことです。
授業中に漫画を描いて教師に怒られた手塚治虫の漫画を読んだ母の一言「お母 さんはあなたの漫画の世界で第 1 号の漫画のファンになりました」親のあなた ならこんなとき子供にどう接したでしょう。問題児だったエジソンを母親だけは 信じ続けたように、人目を気にして謙遜したり、枠にはめて子供の可能性に蓋を してしまわないよう、多少の親ばか(私に言わせれば親の美しい姿)になってほし いと思います。 「人間は張られたレッテルにこたえる動物である」